研究発表

*勉強会の報告と、会員の研究発表を掲載します。授業の準備などの参
 考にしてください!

17.第1回 河南省日本語スピーチコンテストの報告  川端 敦志
16.
授業報告「五要十不」  斉藤 正
15.
授業報告「終着駅は始発駅」  斉藤 正
14.
授業報告「時間について考える」  斉藤 正
13.
授業報告「会社人としてのあり方と私の会社生活」  斉藤 正
12.
授業アイディア「考える遊び」  斉藤 正
11.
授業の雰囲気を変えるちょっとしたネタ  細井
10.
授業報告「日本の企業で働く場合に留意すべきこと」  斉藤 正
9.
学生の作文の誤用例と国語辞書  足立 吉弘
8.
私は感動されました  八尾 由子
7.
「彼は毎日勉強しなくて遊んでばかりいます。」  吉永 里香
6.
中国人学生への発音指導について  28回教師会グループ討論報告
5.
生徒のやる気とプラス思考  剱持 昌宏
4.
「ようだ・そうだ・みたいだ・らしい」
3.
「うれしい・たのしい・よろこぶ」
2.
「そこで・だから」
1.
授業報告  永森久美江
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17.第1回 河南省日本語スピーチコンテストの報告  川端 敦志


日本語教育関係者の皆様、はじめまして。

去る10月27日(土)に、省内各地から16の大学の27名の弁士が参加し、第1回河南省日本語スピーチコンテストが行われました。
第1回の開催なので、会場校である勤務先の準備や当日の段取り、スピーチの内容などは大いに改善の余地があると思われますが、あれこれ含めて今後の参考になればと思い、会場校の教員として準備に当たり、また当日審査員を務めた立場から、報告いたします。
 

大会の流れ

◆10月26日(金)
午後4時〜6時 参加選手申し込み受付
午後6時    選手・来賓・審査員 会食
午後8時    審査員会議

◆10月27日(土)
午前7時    選手・来賓・審査員 朝食
午前7時45分 発表順の抽選
午前8時    開会式
午前9時    コンテスト開始

第1部 テーマスピーチ

日本語専門の部(日本語専攻)
非日本語専門の部(第2外国語)

第2部 即席スピーチ

日本語専門の部(日本語専攻)
非日本語専門の部(第2外国語)

午後12時   表彰式
午後12時半  選手・来賓・審査員 終了パーティー

全体のテーマスピーチ:「私の目から見た日本」

即席スピーチ:
○日本語専門の部
以下の3つのテーマから抽選。2分後にスピーチ。

「経済発展の著しいアジアにおける日本の役割」
「環境という観点からの日中関係」
「2010年の上海博覧会に日本はどんなものを展示すべきか」

○非日本語専門の部
「私の専門において日本語を勉強する意義」
当校が会場となっての開催が決まったのは、夏休みに入った7月末、それからホールの職員も含めた教職員みなが準備に追われました。
なにしろ、当鄭州昇達経貿管理学院日本語科の歴史そのものが、まだまだ浅く(6年目)、どこから手をつけてよいのやら、上から下まであれこれ議論しながらの準備となりました。

特に、前夜行われた審査員会議は、日付が変わるのではないかと思われるまで長引いてしまいました。
話し合われたのは、以下の2点です。

@審査基準を明確にすること(制限時間の取り扱い・審査項目と基準の確認・集計と結果発表の方法)
A質疑応答を即席スピーチに変更するかどうか、また即席テーマの決定。

上記の内容を前日に確認する、ということ自体が初めての開催を物語っているように思うのですが、洛陽外国語学院の王鉄橋先生の次の言葉で、みなが目的を一つにすることができました。
「今からいろいろな項目について会議を行うが、自分の学校のことはひとまず横においてほしい。それぞれが、河南省の日本語教育にどれだけ寄与できるのか、大きな権利を持つ審査員としての立場を自覚し、会議に臨むことを期待している。」

当日は、来賓の方々の挨拶が長引き、コンテストの開始が30分ほど遅れ、また採点の集計に予定以上の時間がかかってしまったなどのトラブルもありましたが、なんとか形をつけることができたのは、やはり王先生のお言葉のおかげだと思います。

  さて、肝心のスピーチの内容ですが、準備してきたものを100%出し切ったテーマスピーチとなりました。おもな内容は以下のとおりです。

出会った日本人教師を例に「日本人のまじめさとユーモア」
さまざまな文化を取り入れて自分のものにしてしまう「日本という国の不可解さ」
交流開始35周年を記念し、「結婚生活35周年を迎えた日中両国」
国際的な環境問題の視点から「鯨を食べる日本人」(内容への賛否がありました)

審査員としての感想です。
◆「やはり、明るく積極的な性格というのは、スピーチを聞いていても気持ちがいい(即席スピーチにおいて、言い間違えても気にしない)」

◆「聞き取りやすい発音と同時に、聞き取りやすい話し方、聞き取りやすい声がある」

◆「日本語が上手だということと、スピーチが心に残るということは別である」

◆「手をおなかの前に組んでまったく動かさない人が多かったが、少しは動いたほうが視覚的にも訴えるものがあったのではないか(演台がなかったことも影響したと思われます)」

◆「表情やジェスチャー、間の取り方、抑揚などにも気を使うべきではないか」

◆「内容が一貫していないと、総合的な評価を得るのは難しい」

◆「即席スピーチにどれだけ対応できるかは、普段の学習(教授)方法を見直す機会となる」

◆「即席スピーチのテーマは、十分に吟味する必要がある(難易度、ユニークさ)」


かなり厳しい評価となりましたが、これも一生懸命に取り組んだ弁士がさらに上達するよう、指導する立場にある私たちへの自戒として、書かせていただきました。

実際、4年生や大学院生に混じって2年生も参加していましたが、テーマスピーチを聞いている限りでは、正直なところ分かりませんでした。彼女が即席スピーチにほとんど答えられなかったのを見て、初めて「もしかしたら」と思い、昼食時に確認したぐらいです。

そして、このような学生が一人でも増えるような日本語教育環境を整えることができたらと思いました。

最後に、今回の大会は、「河南省の日本語教育を活性化する」という目的を十分に達成した大会になったのではないか、そして、このような行事が成功するような日本語教育を目指していきたいと、他の先生方とも確認し、終了いたしました。

(以下は、私のまったくの個人的な感想です。ホームページに載せるのが適当かどうかは、貴事務所にてご判断いただければと思いますので、よろしくお願いします。)
ただ、残念だったのが、河南省でも歴史のある学校から来た学生が、以下のようなことを言っていたことです。(その後続いた彼らとの会話を通じて、ここでも指導する側の人間の役割を考えさせられました。)
「私はもっと大きな大会で優勝したのに、なんで1位じゃないのか。」「こんな正式じゃない大会での成績なんて、、、」
彼らは、確かに日本語は上手だと思います。(何しろ大学院生と4年生です)
しかし、話す内容はすでにどこかで聞いたことのあることを繰り返すばかりで、抑揚にも乏しく、印象に残るものがほとんどありませんでした。

その後1時間ほど彼らの話を聞いてみましたが、院生(男性)のほうは、どうやら別の大会で優勝したこともあり、今回はほとんど準備をしてこなかったとのことでした。
また、4年生(女性)は初めてのスピーチ大会の参加であり、やはり緊張してしまったとのことでした。
そして、指導の段階で、当初用意したユーモアのある部分は削られ、抑揚をつけずに淡々と話すようにと教えられたとのことでした。
その結果、優勝した学生(当校の代表です)に比べて声にも元気がなく、聞いている人が眠くなってくるようなスピーチになってしまったように思う、と最後には彼ら自身も思い当たったようです。
そこで、以下の話をしたところ、ようやく納得がいったのか、顔が少し明るくなりました。

「30人近い弁士が、みな表情に乏しく、淡々と(どこかで聞いたようなことを何度も繰り返し)スピーチをしたら、それを聞いている遠いところから来た審査員はどう思うのでしょうか。」

「もちろん審査員がつける得点のために自分のスタイルを変える必要はないでしょう。しかし、来賓や観客も含めて、自分のスピーチを聞いている人のことを考えず、訴えたいと強く思っていることがない(少なくともそれが分かりにくい)スピーチは、やはり聞いている人には届かないのではないでしょうか」

「日本語が上手であること(発音や文法の正確さ、語彙の豊富さなど)を絶対必要条件とし、「聞いていておもしろい、楽しかった、勉強になった」と思われるようなスピーチをこれからは考えてみてはどうでしょうか」


実は、これらのことは、私が天津で教えていた時に、北京の「こだま」というチームの学生を通じて学んだことです。
今回優勝したのは私の指導した学生ですが、「こだま」に教えられたことを私なりのやり方で伝えたことが、結果につながったと思っています。
北京から見に来てくださった小西先生と「こだま」に、感謝を申し上げて結びとさせていただきます。
ありがとうございました。
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16.授業報告「五要十不」  斉藤 正

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15.授業報告「終着駅は始発駅」  斉藤 正

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14.授業報告「時間について考える」  斉藤 正

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13.授業報告「会社人としてのあり方と私の会社生活」  斉藤 正

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12.授業アイディア「考える遊び」  斉藤 正

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11.授業の雰囲気を変えるちょっとしたネタ  細井

「数字ゲーム」(と言って、実は聴解の練習になります。)
@ 適当な数字を言う。          例234
A その数字を一つずつ足していく。    2+3+4=9
B でた答えをもとの数字から引く。    234−9=225
C でた答えを、また一つずつ足していく。 2+2+5=9
*ここでの答えは必ず「9」または「9の倍数」になります。

「おりがみ」
おりがみを通して、「折る」などの言葉も勉強できたそうです。

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10.「日本の企業で働く場合に留意すべきこと」  斉藤 正


「模擬授業」報告

授業目的:
将来、日本企業で働くことを目的に、約1年間日本語を学習してきた学生(15名)を対象に、企業勤務経験の長い斉藤正先生(天津理工大学国際工商学院)に授業をしていただきました。(参加者約35名)

授業内容:
大量の資料を用いて、「日本の企業で働く場合に留意すべきこと」について丁寧な説明がありました。先生の長年の経験・実績と大きな熱意を限られた時間で学生に伝えるには無理がありましたが、後日 資料を熟読すれば(資料は日中両国語)企業生活に大いに役立つことと思います。

資料概要:
資料の「目次」に当たる部分だけを以下に紹介します。

会社人としての
*全ての始まりは、「 あいさつ 」から
*素直な気持で、礼儀や行儀正しく、明るく、皆に付き合う
*信頼される、頼られる人間に
*話し方、言葉遣いには気をつけて
*他人の良いところを真似、利用や活用せよ。逆に、他山の石も考えよ
*明日からやろうは、やらないことと同意語。
*仕事は会社で、家庭では家族と共に
*多くの会社の経営理念には、「 創造、挑戦、調和、信頼 」等がある

*全ての業務に、PDCAを迅速に確実に回転させる
*定期的に、必要時、確実に「 ほうれんそう ( 報連相 ) 」
*何事にも、興味、関心、好奇心を持ち、常にトライ、チャレンジする

*現状を見直し、マンネリ化打破、現状打破の気持で、新しい事を考え、実行する
*決めた事、決められた事を、確実に迅速に実行する
*強い感受性を持ち、何かを見つけ、感じ、気が付き、そして何か行動に移す
*3度 : 感度、速度、精度
*継続は、力なり
*相手の話すことをよく聞き、理解する
*情報を、どんどん提供する ( 9 Give、1 Take精神 )
*メールには、何でもいいから、必ずそれも出来るだけ早目に返信する事
*常に、GeneralよりBetter、BetterよりBest、BestよりPerfectに
*他人の話や情報や報告を信じるが、自分の目や耳でも確認する事
*質問への回答は、先ず「 YesかNo 」を明確にし、説明や意見を簡潔明瞭に
*やらなければならない事や、判断や決裁すべき事は、即実行、即決断
*計画には日程表を作成し、それを遵守し、遅れる場合は、早めに再計画を立てる
*日付と作成者名のない資料は、資料ではない
*何でも記録する事、そして、活用する事
*過去を知り ( 記録 )、現状を把握し、将来を考える習慣をつける
*時間感覚を持ち、時間管理の徹底
*朱に混じわっても、ピンクになれ、たまには万緑中、紅一点となれ
*チームワークの精神と、独自でやる事の区別を持つ
*内容によって、自分だけで実施するだけではなく、人の助けも借りよう
*節目には、何かを考え、行動する事
*信念を持って自分の考えを主張する事、必ず、報われる。
*常に将来の事を考えて、今から計画、行動しておく。
*会社生活を楽しく、みんなに感謝
* 感謝の気持が、他人に伝われば、他人はあなたをいつでも援助してくれる。

研究協議:
上記のような膨大な内容の伝達を目的にした授業であったため、「日本語教育」と言う観点からの話し合いにはやや困難がありましたが、 授業には「個性・熱意」が必要不可欠であること、 資料の記載・配布方法の工夫など、私たちの授業に役立つヒントもたくさんありました。
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9.学生の作文の誤用例と国語辞書  足立吉弘

“ところへ”を使って書いた学生の例文。(大学2〜3年生)
1)役者が演技をしているところへ転んだ。
2)レストランでご飯を食べているところへ、財布を忘れたことに気がついた。
3)Aさんと話をしているところへ先生に叱られた。
4)私たちの教室でテストをしているところへ、隣の教室で学生が歌を歌っていた。
5)トイレへ行っているところへ授業が始まった。

大辞林の説明
形式名詞「ところ」に格助詞「へ」のついたもの。
〜たところへ、〜ているところへ、などの形で接続助詞的に用いて、一つの事態が起こったとき、あるいは起こっているちょうどそのとき、他の事態がさらに生じることを表すときに用いる。
・家を出たところへ雨が降ってきた。
・寝ようとしているところへ電話がかかってきた。

基礎日本語辞典(森田良行)の説明
Aという状態のとき、Bという状態が重なって起きる。

[私の意見]
 大辞林、基礎日本語辞典、ともに説明が不十分ではないか。
 例文1)2)3)は、Aという事態(状態)と、Bという事態(状態)の主体が同一であることに問題がある。つまり、「Aという事態と、Bという事態の主体は同一ではない」ということを説明に加えるべきだ。
 4)5)は「ところへ」の「へ」という方向性が学生にはまだ理解できていない結果であろう。つまり、「Aという状態の方向に向かってBという状態が重なって起きる」というふうに説明すべきではないか。これからは、外国人学習者にも理解できるような辞書作りが求められていると思う。

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8.私は感動されました  八尾由子

 学生に、映画を見た感想を書かせたときに出てきた文です。複数の学生がこのように書いていました。正しくは、もちろん「感動しました」または「感動させられました」です。どうしてこのような形を使ったのでしょうか。
 それは、母語である中国語の<感動>(以下、中国語は<>の記号で表すことにします)と、日本語の「感動する」との文法的な性格の違いが原因のようです。「感動する」は、自動詞で、他者への働きかけは表しません。しかし、<感動>には、「感動する」の意味だけでなく、日本語の「感動させる」に当たる意味も持っています。それで、この学生は後者の意味の<感動>を考えて、
 我被<感動>了。(‘被’は、中国語で、受身を表します)
 → 私は(この映画に)<感動>された。
 → 「私は感動された。」
と、書いたのだと思われます。
 日中両国語で、同じ漢字を使う語であって、さらに日本語の中では「する」をつけて動詞になる語の中では、<感動>のように「する」「させる」両方の意味を持つものは、私が見た限りでは、ほかにありませんでした。(もしどなたかご存知でしたら、教えてください)
 中国で使われている日本語教科書の多くは、単語に中国語訳がついています。中国語とまったく違う字で表されている日本語の単語なら、注意深く覚えますが、同じ漢字なら、学習者は「あ、同じだ」と思います。でも同じ漢字でも必ずしも100%同じ意味でないことが多いのです(これは言い古されたことですけれど)。それを一つ一つ解説することは、紙面の問題もあるでしょうし、教科書に求めるのは無理かと思います。ですから、教科書には説明がない点を補っていくのが教師の役割かなと思いました。

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7.「彼は毎日勉強しなくて遊んでばかりいます。」 吉永里香

 初級の 学生にとって「〜なくて」と「〜ないで」の使い分けは、かなり難しいもののようです。が、これは表にすると、ぐっと分かりやすくなります。

  原因・理由 結   合
動     詞 T  なくて U  ないで
名詞・形容詞(い形容詞)・形容動詞(な形容詞) V  なくて W  なくて

T.「ない」の前が動詞で、「て」が「原因・理由」を表す場合
  ・言葉がわからなくて困りました。
  ・バスが来なくて、いらいらしました。

U.「ない」の前が動詞で、「て」が「Aをしない」「Bをする」を「結合」する
  場合
  ・財布を持たないで買い物に行きました。
  ・辞書を見ないで日本語で手紙を書きました。

V.「ない」の前が名詞、形容詞(い形容詞)または形容動詞(な形容詞)で、「て」
  が「原因・理由」を表す場合
  ・重い病気でなくて、本当に良かった。
  ・この地方は、夏でも暑くなくて過ごしやすい。
  ・この映画のストーリーは複雑ではなくて、一度見ただけで十分理解できます。

W.「ない」の前が名詞、形容詞(い形容詞)または形容動詞(な形容詞)で、「て」
  が「Aではない」「Bだ」を「結合」する場合
  ・ファックスじゃなくてメールで連絡します。
  ・ 赤くなくて黄色いスイカもあるんですね。
  ・あのレストランは清潔じゃなくて、店員の態度も悪い。

 この説明をした後に、以下の問題で確認すると良いと思われます。

〔問題〕下の(  )の中から適当な方を選びなさい。
  1 料理がおいしく(ないで/なくて)半分残してしまいました。
  2 彼は医者では(ないで/なくて)医学部の学生ですよ。
  3 窓を閉め(ないで/なくて)寝ました。
  4 包丁を使わ(ないで/なくて)料理しました。
  5 お金が足り(ないで/なくて)バスに乗れませんでした。

 上記の誤用は、初級の学生ではなく、実は2年生の作文(宿題)の中に見られたものです。添削し返却した後、確認問題を解いて、再度提出してもらいました。それを見る限りは、理解できていたようです。が、かといって、もうマスターしたわけではないのは、皆さんもご経験済みかと思います。言葉というものは、こういう間違いを何度も繰り返して、ゆっくりゆっくり身につけていくもの。焦らず、気長に、学生の誤用と付き合っていくのも、言葉を教える教師の役割の一つなのでしょう。

参考文献:『月刊日本語』’96.10,アルク,46−47

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6.中国人学生への発音指導について 28回教師会グループ討論報告

 わたしたちのグループでは 中国人学生の発音指導について話し合いました。
 題材となったのは
 [1]濁音の聞き取り
 [2]中国人特有の抑揚をどう矯正すればよいか。
 [3]促音の拍の欠落
 [4]長音(特に拗音の後の)の拍の欠落などである。

 [1]の濁音の聞き取りに関しては、中級以上になっても、単語の知識として清濁の区別をしているだけで、耳で清濁を聞き分けられていないと思われる学習者も多い。中国語では清濁ではなく、有気か無気かによって意味の区別を付ける。一般に日本人が濁音としているz、d、gなどは中国では無気音、日本語では清音としているc、t、kなどは有気の音である。
 しかし、日本人はc、t、kをも無気で発音するため中国人にはcとz、tとzの区別が聞き取れなくなっているのではないか。これは、促音に続く濁音の場合特に顕著であるようだ。「発展→はっでん」「作家→さっが」など何度やっても間違っている多数の学生が、「雑誌→ざっじ」と間違うものは一人もいなかった。これは、shiの音は日本人も有気で発音しているからであろう。濁音の聞き取り・発声に関してはc、t、k、qなどの音を無声で発声させる練習が必要かも知れない。
 [1][2][3]に関しては、「拍」の問題として受け止めて指導することが必要である。短いセンテンスを拍子をとりながら繰り返し練習させると抑揚の問題をも含めてかなり改善される。また、日本語が高低アクセントであることを意識付けるため「中国→ミドドド」「中国人→ドミミミドド」と音階化してやることも効果がある。「中国→ちゅうーーごく」「中国→ちゅうごく」と板書して視覚による意識化の方法もある。
 また、日本の歌を歌わせる、歌の歌詞を「詩」として暗唱させ、朗読させるなどの方法も紹介された。この他、今回の話し合いの題材とはならなかったが、
 [5]「ん」の無声化の傾向(「日本→にほん」も有るように思われる。拍がとれているので、特に聞きづらくはないが、「日本人→にほじん」と4拍に発声してしまう学生も多い。
 [6]拗音の後の長音が欠落(「中国→ちゅごく」)するのと反対に拗音に不要な長音が添えられる(「辞書→じしょう」)例も見られる。
 [7]初級の教科書が分かち書きしている故か、 助詞が必要以上に強調されて、不自然に聞こえる例も多いように思う。

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5.生徒のやる気とプラス思考  剱持昌宏

「やる気」とは何か?そしてそのやる気を維持する方法は?
実はですね、教育界ではこういう研究はあまりされていない。スポーツの世界ではいかに高いモチベーションを維持するかというのは、かなり研究されているんです。まあ、いわゆるメンタルトレーニングというやつですね。メンタルトレーニングというとみなさんは試合当日いかに実力を出しきるかと言うためにやるものだと思っているかもしれませんが、それだけではなく、最近のスポーツ選手は日常的に、練習やトレーニングや試合に向けてのモチベーションつまり、動機を高める工夫をしているのです。それを仕事や勉強にも応用できないかというのがはじめの発想でした。

本来、勉強とは楽しいもの。そう思いませんか。
幼い頃の勉強は、本当に楽しいものです。みなさんもそうではありませんでしたか。
私の、子供は、小学校の1年生の男の子と幼稚園の年中組の女の子ともうすぐ1歳の男の子の3人ですが、上の二人は学校が大好きです。熱があっても行こうとします。本を読むのも、字や絵を描くのも大好きです。庭を走り回ったり、砂場で真っ黒になって遊んだりするのと同じように、読んだり書いたりするのが好きです。

それが何故、いつの間にそうでなくなってしまうのでしょうか。

勉強がさせられるもの、押しつけられるものになるからですよね。
人間誰でも、やりたい時、やりたくない時がありますよね。
それでも、授業ですからやらなくてはいけない。いやがっても、無理にでもやらせてしまう。それがいけない。じゃぁどうするんだということになりますよね。

常に、授業の始まる時にやりたいという気持ちを作ってしまう。それが一番大切なんです。本当は、授業のノウハウなんかよりもこれが一番大切なんです。

この授業は楽しいというイメージを作ってしまえばこっちのもの。
パブロフの犬が、よだれを垂らすように、生徒達がわくわくしながら授業を待つようになります。聞かせようと必死になんかならなくても、勝手に放っておいても聞きます。

まあ、理屈はわかるけど現実はそうはいかないよ。やるのは勉強なんだよ。そう楽しいというイメージを簡単に持たせられるわけがない。という風に思う人もいるかもしれませんが、教える側が、そう思ったら、その気持ちは必ず学生に伝わります。人の気持ちというのは、言葉を越えて簡単に相手に伝わります。

特に、好き嫌いというのは簡単に相手に伝わります。教師として、一番してはいけないのは、嫌いな生徒を作ること。誰だって嫌いな生徒はいるでしょう。いても教師だから、絶対顔に出したり、言葉に出したりはしませんよ。という人がいるかもしれませんが、それは不可能。人間どんなに隠しても、ちょっとした表情に表れてしまうものです。こちらは気づかれているとは思っていなくても、相手も気づいていると思っていなくても、潜在意識が、お互いに嫌いと気づいてしまっている。

私も新人の頃は、苦手な学生がいました。ちょうど校内暴力が問題になっていた時期ですので、学校の中は常に一触即発の状態でした。廊下を歩いても、生徒と教員の間で、視線がぶつかり、火花が飛ぶような気がしました。こんな私ですが、昔は2回ほど、松の廊下の浅野匠守状態になったことがあります。そんな当時、私には一人の、本当にどう扱っていいかわからない女子生徒がいました。まあ、いわゆる女番というタイプの生徒でした。もちろん面と向かって、難しい生徒だなんていうわけもないのですが、いつの間にかこちらの態度で気づいてしまい、ますます難しくなってしまったという経験をしました。一年も相手をしていると、隠しきれるものではありません。一度女子生徒との関係を壊してしまうと修復はほとんど不可能に近いということも経験から学びました。

隠してもばれる。一度壊れた関係は修復不能。

では、どうするか。答えは簡単。
「私はみんな好きだ。私は授業が大好きだ。」
本心で、心の底からそう思えればいいのです。
それしか解決の道はありませんよ。

「こいつら、態度悪いなぁ。もっとしっかり聞けよ。」と思って授業をしている人の授業を学生が聞くわけがない。なぜなら、その教師の不快感が、学生に伝わっているからです。双方が不快な気持ちを抱えたまま、効率の悪い授業を続けているのは、労多くして益無しの典型です。時間が経つほど、つまらない授業になるでしょう。

話を元に戻しますが、授業を受けたい、勉強したいと思わせるには、教師自身が
「私は学生が大好きだ。私は授業が楽しくてたまらない。」そう思っていなければならない。

右脳と左脳の話を聞いたことありますか。右脳は、感覚的な世界を司り、左脳は理論的な思考を担当する。…そうです。そして、その人、その授業に対するイメージは右脳が作るんです。理屈じゃないんです。感覚の問題なんです。右脳の働き、右脳の記憶力というのは大変速くて、優秀なんです。スポーツの世界では、この右脳の働きを競技に生かせないかと随分研究が進んでいます。
長島監督の台詞は「ぐぐっときて、ぶんと振って、ガツンだ。」という風に擬態語が多いですが、右脳のイメージで説明しているからです。まあ、これでは競技に活かすのはかなり難しいですね。
で、科学的にイメージをどう利用するかというと、
これもまぁ、野球の例なんですけど、
イチローは打席に立つときの、動作表情を常に一定にしてます。なぜだと思いますか。
長いシーズンを過ごす中でどうしても、どんな選手でも好不調の波はさけられません。人は不調なときは、不調なような、好調なときは好調なような、そんな態度を知らず知らずのうちに取っています。好調な態度の打者には投手は投げにくく、不調な態度の打者には、投手は思いきって投げることが出来ます。これは理屈じゃないのです。相手の体全身から感じるものなのです。そこで常にその態度を一定にすれば、常に相手に、楽には投げさせないと言うことが出来るわけです。まるで相手に不調を感じさせないわけです。
それともう一つ、どんなときでも相手に弱い姿は見せないこと。三振したあと、必ず相手をもう一度にらんで、今度は打つと心でつぶやいてからベンチに戻ります。試合の中で一度でも相手に弱い姿を見せると、相手が随文楽にプレーすることが出来るようになります。要するに、自分というキャラクターにどういうイメージを付けるかということを、自分で意識して作っていると言うことです。前の打席で三振を取っているから今度も大丈夫と思えるバッターと、前の打席は三振に取ったけど、何となくそろそろ打たれそうと言う気がするバッターがいると言うことです。もちろんイチローは後者です。

随分長い横道にそれましたが、これを授業に活かすのは実は簡単なんです。
だまされたと思って、次のことを授業の前に実践してみてください。「この先生の授業は楽しいのでぜひ聞きたい。」というイメージを与えることの出来る方法です。

まず
・笑顔で、「授業が楽しくて、今わくわくしている。」など、自己暗示の言葉をつぶ
 やく。桑田真澄ってご存じですか。よくボールに向かってぶつぶつつぶやいている
 のを知っていますか。あれは、ランナーを背負ったピンチの時に「次の打者をダブ
 ルプレーを取ってチェンジだ。」「君は三振だ。」などと、自分で自分に暗示を掛
 けているんです。そうすることによって、自分にかかるプレッシャーを軽減し、持
 っている力を引き出そうとしているのです。
・笑顔で教室に入る。(初めて顔をあわせた瞬間のイメージが大切)
・笑顔で、心の底から授業を楽しむ。
※[教師が、そして生徒自身が授業を楽しむためにはそれなりのルールやマナーが必
  要になる。それは教師自身がどんなルールが必要か考えて、自分の言葉できちん
  と伝えないといけない。]

(例)私の授業の入り方(具体的に)

とにかく一番大切なのは「笑顔」です。最初は学生も戸惑うかもしれませんが、それでも続ければ、だんだん教師に対するイメージが変わってきます。どの学生と会っても、心からの笑顔であいさつをしてくれるようになったら大成功です。

またまた、当たり前なことをいっていると思うかもしれませんが、科学的にもこの笑顔の効用についてはだいぶ研究が進んでいます。

・笑顔を作ると(無理矢理でも何でも)、脳に今この人は笑顔だという情報が送られ
 る。そうすると、脳の中にリラックスするホルモンが分泌される。だから、本当に
 リラックスして、実力を発揮できる。

※野球の世界では、試合中に笑顔でプレーするということを勧める指導者が急増している。ちょっと前まで試合中に笑うなんて不謹慎だと、監督にぶん殴られていたのにですよ。一にも二にもそれは、選手が力を出すためにはどうすればよいかを考えてのことです。一時期日本のスポーツ選手が、大きな試合に弱いのは何故かと盛んにいわれた時代があります。今、大切な試合、大きな舞台で活躍する日本人選手が増えています。その違いは何か?それは「笑顔」とプラス思考だと思います。メンタルトレーニングと言いかえてもいいかもしれません。

授業も一緒です。教師が楽しく話していれば、その楽しさは学生にも伝わります。一に笑顔、二に笑顔、三四も笑顔で、五も笑顔。これで行きましょう。

プラス思考の話も少ししておきましょう。

「脳内革命」お読みになりましたか。明るく楽しく前向きな気持ちになっていると、右脳からドーパミンというホルモンが分泌されて、いつも以上の力を発揮できるという内容のものです。

人間の能力というのは、なかなかたいしたもので、ほとんどの人はその持っている能力の大部分をつかわないまま一生を終えるといわれています。

火事場の馬鹿力という言葉もありますね。あれはない力が、出るのではなく、普段出せない潜在能力を引き出したということなんですよね。そうとわかれば、その馬鹿力を出したい時に出せるようになればと考えるのが当然ですよね。その鍵を握っているのがプラス思考なんです。

これは、何も筋力だけの話ではないのですよ。笑顔とプラス思考は、潜在能力を引き出す最大の武器なのです。

では、辛い時、苦しい時、そんなときにどうすればプラス思考をすることが出来、自分の実力を出し切ることが出来るかというとについてお話ししましょう。

その鍵は、自己暗示なんです。どんな自己暗示かというと、どんなときも何が起こっても「自分はついている」と暗示を掛けること。そうすれば、物事をプラスに考えられるようになります。

(例1)考えてもいなかった海外単身赴任。
   (本心)「いやー、まいったなぁ。苦しい一年になるだろうな。」
   (暗示)「いやー、ついてる。こんな経験滅多に出来るものじゃない。しかも
       給料は日本と中国と両方で出るなんて、こんなついていることそうそ
       うない。」

(例2)一番やりたくない授業をやることになった。
   (本心)「いやー。まいったなぁ。どうしよう。本当に困った。」
   (暗示)「ついてる。こんな苦手な授業をやりきることが出来れば、自分も成
       長できるし、今後どんな授業でもやることが出来るようになるぞ。」

(例3)日本代表をはずされた中村選手の場合。
   (本心)「何で俺をはずすんだよ。ここで目立って、レアルへの移籍金つり上
       げようと思っていたのに。」
   (暗示)「ついている。今は、まだワールドカップに出ない方がよい。今はま
       だ世界のトップのプレーは出来ない。問題は4年後だ。4年後に世界
       の頂点に立つために今は自分自身をもっともっと鍛えて強くして行け
       ばいいんだ。これからの4年間で足りないところをじっくりとおぎな
       い、4年後には、大活躍するぞ。」

まぁ、基本はいつでも「ついている」と思うことです。そして、その理由付けがうまくいけばいくほど、効果は大きなものになります。何故、ついているのかという理由付けですよね。普通の人が、ついていないと思えるようなことが、ついていると心の底から思えるようになれば、あなたもプラス思考の達人ですよ。

いいですか、くどいようですが、一番大切なのは

「笑顔」と、「プラスの自己暗示」です。

これで、生徒のやる気も維持され、教師のやる気もでるというものです。
みなさんの、ますますのご活躍を心からお祈りし、私のつたない話の結びとさせていただきます。ご静聴ありがとうございました。
(発表の時の原稿ですので、実際の話とは一部かなり違うと思います。ご容赦ください。)

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4.「ようだ・そうだ・みたいだ・らしい」

@「ようだ」と「みたいだ」
 どちらも推量をあらわす。
 →主語が「はっきりと言えないがそう思う」こと

 「ようだ」  改まった話し言葉・書き言葉 によく使う。
 「みたいだ」 くだけた話し言葉      によく使う。

A推量をあらわすことばと、そのニュアンス
 ようだ・みたいだ ・・・話し手が感じたこと、他の人の意見を基にして判断した
             こと
 そうだ      ・・・話し手が見たり聞いたりして、すぐに思ったこと
 らしい      ・・・「ようだ・みたいだ」と大体同じ
             話し手の「あまりよく知らないが・・」という気持ちが
             含まれる

 《比較》
  彼は疲れているようだ
  彼は疲れていそうだ
  彼は疲れているらしい

B伝聞をあらわすことばと、そのニュアンス
 そうだ ・・・情報源がはっきりしている
 らしい ・・・情報源がはっきりしていない時に、よく使われる

 《比較》
  きのう、日本で地震があったそうだ
  きのう、日本で地震があったらしい

〜久下先生より追記〜
日本の中学校の国語の教科書では次のように教えています。
(三省堂「現代の国語 中3」P.55)

四 次の2〜5は、1の「〜だろう」の言い方と比べて、どう違うか、考えなさい。
 1 大下君も 賛成するだろう。
 2 大下君も 賛成するらしい。
 3 大下君も 賛成するそうだ。
 4 大下君も 賛成するかもしれない。
 5 大下君も 賛成するに違いない。
(ノート)
「だろう」が単なる推量と言えるのに対して、「らしい」は、そのように判断できる感じがする場合に、「そうだ」は、他人から聞いたというような場合によく使用される。また、「かもしれない」は、疑いを持った場合に、「に違いない」は、自信を持って判断できる場合に使われる。

五 次の1と2の「そうだ」は、どのように意味が違うか、考えなさい。
 1 週末には 桜も 咲くそうだ。
 2 週末には 桜も 咲きそうだ。
(ノート)
1は、他から伝え聞く(伝聞)という意味で、2は、そういう様子だ(様態)という意味で使われている。

六 次に示す1〜4の文は、それぞれ、どのように意味が違うか、考えなさい。
 1 山は 雪になるようだ。
 2 山は 雪になったようだ。
 3 山は 雪になるようだった。
 4 山は 雪になったようだった。
(ノート)
「ようだ」は近い未来の事柄の推量から過去の事柄の推量まで、さまざまに用いられる。なお、「らしい」にも、1〜4に相当する「〜なるらしい」「〜なったらしい」「〜なるらしかった」「〜なったらしかった」などがあるが、「だろう」には1,2に相当する「〜なるだろう」「〜なっただろう」があるだけで、3,4に相当する言い方はない。

その他
伝聞の「そうだ」は、活用の終止形+「そうだ」で、他人の判断(寒い・晴れる)に、もう一度話し手の判断「そうだ」を追加したものである。(寒いそうだ)推量の「そうだ」は、活用の連体形+形式体言「そう」+断定の助動詞「だ」で、
推量「降りそう」を「だ」と断定している。
      以上『田中稔子の日本語の文法』より

ついでに、
例示の「らしい」は「理想的な」「そうあるべき」ではない例には使用されない。
空が青く 空気が澄んでいる 涼しい・・・・○秋らしい。
太陽ギラギラ 暑くて汗ダラダラ・・・・・・×夏らしい。
ぶるぶるふるえながら、「今日は冬らしい天気ですねぇ」とはいわない。
なるほど、と思ったので蛇足。

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3.「うれしい・たのしい・よろこぶ」

@「うれしい・たのしい」と「よろこぶ」

 1.「うれしい・たのしい」は形容詞 で、「よろこぶ」は動詞
   だから、「よろこぶ」は「うれしく感じる」「うれしい気持ちがその人の様子
   にあらわれる」こと

 2.「よろこぶ」は、話し手や聞き手が主語のとき、一般的には使わない
   × 私はよろこびます。
   × あなたはよろこびますか。

 3.「うれしい・たのしい」は、第三人称が主語のとき「〜そうだ」をつける
   ○ 私はうれしい。
   × 田中さんはうれしい。
   ○ 田中さんはうれしそうだ。
   × 鈴木さんはたのしい。
   ○ 鈴木さんはたのしそうだ。

A「うれしい」と「たのしい」

 1.「うれしい」・・・主語に直接関係のある、個人的で具体的な理由があるとき
   「たのしい」・・・必ずしも主語とは直接関係がなく、一般的に人を愉快にさ
             せる雰囲気があるとき

   (例)うれしい話:その内容が、「主語」個人に関係があることで、それを知
            って「主語」が喜ぶはなし
      たのしい話:内容がおもしろく、人々を愉快にさせるようなはなしで、
            「主語」個人に関係がなくてもよい

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2.「そこで、だから」  

@「そこで」・・・原因―結果の関係がなくてもいい。
         この事態になったので、このタイミングを利用するという気持ち
 「だから」・・・原因―結果の関係がある。
         ある目的のために何かをする
         問題を解決するために何かをするという気持ち

A使い方
 「そこで」のあとには、よく「行為」がくる
 「だから」のあとは、「行為」でなくてもいい

 (例)この家は安い。(×そこで ○だから)私でも買える。
           (○そこで ○だから)買うことにした。
           (○そこで ○だから)たくさんの人が買いたがった。

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1.授業報告  2004年6月15日 永森久美江  


授業で心がけたこと

 前期は何をやってよいかわからず、「道の尋ね方」「物の借り方」などの会話をやっていたのですが、後期から考え方を変えました。
 彼らは日本語は下手ですが、二十歳前後の大人の学生なので、授業の内容も彼らの思考にあったことを取り入れるように考えました。できるだけ濃い内容の中で、会話の練習が出来るように心を使ってきました。

毎時間、時間の最初にやったこと

@ ニュースや日本の様子の書き取り

 ニュースや、日本の様子を紹介した1文を私がつくり、それを読み上げて、彼らに書き取らせます。そのあと難しい発音練習をして、1文をみんなで、3回読み上げます。
 この発音練習は長音と促音が中心で、3回に1回ぐらいは全員を当て、出来ない学生は出来るまで、発音させて、徹底的に練習しました。
 この形式を取り入れたのは、その日のニュースに1回も接することなく、毎日を過している学生が大部分であることを知ったからです。この、書き取りは、聞き取りで間違えやすい言葉などがはっきりして、案外効果的な日本語の練習になったと思います。

授業の内容

@ 日本の食費を考える

 日本から持ってきた広告を見せて、日本で1日の食費がいくらかかるか、考えさせました。これは、「あなたは今朝何を食べましたか」などという会話練習から中国の1日の食費の計算をして、かんがえました。

A 仕事について考える

 次に、仕事についても考えました。学校を卒業したら、いくら給料がもらえるのか、自分の親がいくら給料をもらっているかなどについて、クラスの3分の1の学生が知らないことには驚きました。これは日本の求人広告を見て考えました。求人広告を見せて、今、日本で働くとしたら、どの仕事をしたいか、考えて、黒板に書いてもらい、考えたのですが、少し難しかったようで、会話の練習にはあまりなりませんでした。

B 住居費について考える

 また、日本の住居費についても、「あなたの家の広さはどのくらいありますか」「結婚をして、家を買うと、いくらですか。」「家は誰が買いますか。」などの会話練習から、日本のワンルームマンションの賃貸料の広告をもとに考えました。日本の住居費の高額なことはわかったようです。

 @.A.B.のことを取り入れたのは日本に留学したいという学生がとても多いので、日本の生活について現実的なことを考えたほうが良いと思ったからです。この授業を通して、「結婚のとき男の親が家を買ってくれることが多い」など、中国の風習がわかったのですが、丸抱えで親に依存して、自分では、大して勉強しない、学生に「これでは親がかわいそう」という思いを強く持ちました。

C「家族の会話」を作り、グループで演じる授業

 その後は「家族の会話」を彼らに作らせ、出来るだけ、劇風に発表させました。(父役・母役・子供役の3人で役割を決め、せりふを自分たちで作り、できるだけ劇風に発表します)
@「小学生のとき」の会話
  どこかへでかけたとき、食事のとき、洋服を買ってもらいたいときなどさまざまな会話が、出来ました。

A「中学生のとき」
  テストを返してもらったとき、成績が悪いとき、親の手伝いをする、家庭教師をたのむ等々

B「高校生の時」
  将来について、どこの大学に進むか、恋人が出来た、成績が悪い等々

C「恋人同士」
  待ち合わせ、バレンタインデー、インターネットで知り合って会う等々

D「結婚したいと親に告げる時」
  恋人同士の親同士も同級生だった、すでに子供が出来ている、お金がないと反対する親等々

E「結婚式の場面」
なぜか2の2の結婚式の場面はすでに子供が居たり、破談になったり、幸せな結婚式の場面はなかった。逆に2の4は、みんなが拍手したりして、とても盛り上がった。

F「子供がわがままを言ったときの会話」
嫌いな食べ物、漫画を読む、お金を盗む等々

 以上7回の寸劇の内容はメモを取らなかったので、あまりはっきりきろくできません。

この授業の良かった点

 出来ない学生が、グループの学生にいろいろ教わり、一生懸命演技し、授業を楽しんでいたこと。たぶん日本語が少しうまくなったと思います。仲間に助けられて日本語学習意欲が少し出てきた学生が居ました。
 学生の演技力が回を追うごとに高まり、自信を持って、会話を言う学生が増え、会話の日本語らしさが、増して来たこと。原稿を見ながら演技する学生も多いが、しっかり覚えて、顔を上げて、演技する学生も多かったです。これはみんなが考えやすい題なので、学生は喜んで考えます。回を重ねるごとに彼らの演技力が付いてきてみんなで楽しめました。私のほうも中国の生活がわかって、とても楽しく授業をすることが出来ました。

困った点

 欠席する学生が居て、せっかく設けた演技練習の時間にその学生が居ないために練習が出来ず、時間が無駄になるグループがあったこと。
 演技の原稿の下書きを宿題にしてもやってこないグループがかなりあり、他のグループの発表のときにやっていたりして、鑑賞態度が悪くなることが多かったこと。
 彼らの作文能力が、とても低く、原稿を直してあげるのに、とても時間と私の忍耐力が必要だったこと。学生は、インターネットから原案を取り、それを翻訳機にかけ、そのまま持ってくることもあり、意味がわからず、直し様がなく、聞いてもわからない状態もありました。また、4組の学生は日本語の能力が低く、わけのわからない日本語で、書いてくるので、とても時間がかかり、直すのに、イライラすることも多かったです。そのため、授業中にも『もっと勉強しなさい』などと、お説教する時間も多くなりました。でも、学生は私の要求をまじめに受け止めてくれ、回を追うごとにわけのわからない原稿は少なくなり、4組が、一番明るく、演技をみんなで楽しんでやりました。
 ただし事前に原稿を見てあげなければならないのが大変です。全く日本語になっていない文を彼らの話を聞きながら直すのには時間がかかります。ですから、この授業法は授業時間以外の教員にかかる負担がとても大きい指導法です。
 この授業は準備に時間がかかるので、1回おきにしか出来ないので、その間にスピーチを入れました。

Dスピーチの授業

『冬休みにしたこと』

『友達紹介』
(お互いに隣の友達を紹介しあった)題材がやさしいので、結構楽しく出来た。

『何かのやり方の紹介』
 これは標準日本語の「五目寿司の作り方」を読んでからやったので、料理の作り方が多く、彼らは自分で作った事もない料理の作り方を発表するので、聞いているのがとても苦痛であった。自分で作った事のある学生の発表は楽しく聞くことが出来たが、料理が出来る学生はごく少数であった。友達との付き合い方などの発表もあったが、全体としては失敗の授業でした。

『理想の恋人』
恋人同士も居たりして、とても楽しんで、みんな聞いていました。

『会社の面接練習』その一『自己アピール』
 ドアーを入るところから、『自己アピール』をするところまで、お辞儀の仕方を含めてパターンにのっとって、やったが、『失礼します』という言葉を抜かすと、みんなが注意したり、かなり緊張して練習していました。試験官役は私がやりました。

『会社の面接練習』その二 『大学時代に何に熱中したか』についてのスピーチ
『会社の面接』で一番重要なことは『大学時代に何に熱中したか』ということだという話しを聞いたので、早速実施してみました。これが私の授業でやる最後のスピーチになるので、事実だけでなく、どう思ったかなど気持ちを入れるように注意しました。二年生最後のスピーチとして、自分の気持ちを日本語で語れるようになった彼らの日本語力のアップにいささか感動し、少し教えるものとして満足感を感じることもできました。その点について学生をほめました。

 この6回のスピーチで、特に気をつけたことは原稿です。前期彼らの原稿を全員見てあげた私は目を悪くしたので、違う方法を取りました。それは原稿を友達同士で、交換させ、友達に直してもらう方法です。後半は2人の人に直してもらうようにしました。大分間違いが少なくなりました。原稿を書く時間は大体10〜20分ぐらい取って、宿題にしたのですが、宿題をやってこない学生が三分の一から四分の一居て、原稿直しが出来ない学生がいたことは困りました。いい加減な原稿でスピーチをするので、2人の人に直してもらってない場合はスピーチをさせないことにしました。

数え方の暗記

 1月、1っぽん、1っぴき、一日間、ひとつ、いっさい、ついたちと8つ暗記させ、みんなの前で言わせました。これをやったことで、4匹と4本の区別がつかなかったり、ごほんをごうほんと長音にしてしまったりというような、思いがけない間違いも矯正することが出来ました。かなりしつこく練習したので、まじめにやっている学生には定着したと思います。

書き取りテスト

 最後に6回連続で、標準日本語の書き取りテストをしました。濁音の間違いや、促音の間違いなどいろいろな間違いがあり、成績は意外に低かったです。ここでも欠席の学生の評価にとてもこまりました。

ディベート(討論)

『大学時代に恋人は居たほうが良いか』『居ないほうが良いか』で、討論しました。盛り上がったクラスと、そうでもないクラスがありました。
本音は恋人が居たほうが良い人数のほうが多かったですが、広い付き合い方をして、友人を大切にしていきたいという気持ちも強いようです。
以上で私の後期の授業は終わりました。

その他努力したこと

A 暇のある夜、土曜日、日曜日など良く教室に行って日本語の会話の相手をしてあげました。でも、教室で勉強するメンバーは限られていて、特定の人に偏ってしまいましたので、後期グループに分け、130人全員と会話が出来るように計画を立てました。1割の学生は欠席しましたが、9割の学生と1時間から1時間半、夜会話をしました。 ただ、夜の教室は、カップルが居て、あまり雰囲気が良くありません。キスシーンまで目にしたのは困ったことです。
また、階段の電気がいつも切れていて、足元が危なかったです。
電気がたくさん切れていて、暗い教室もありました。

B 私は中国語が話せるようになりたかったのですが、それは実現しなかったのはとても残念なことです。学生以外の中国の人たちと広く交流を持ちたかったのですが、それは出来ませんでした。日本に帰って、中国語を勉強し、もう一度中国に来たいと思っています。

C 最後にいろいろお世話になりました。
この学校の日本語科の発展に少しでもお役に立てばと思いまして、拙い文ではありますが、まとめましたので、ご利用ください。
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